一茶秀句選 読了

「一茶秀句選」を読み終えました。著者の一茶に対する愛を感じました。

「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」の解説が面白かった。
解釈には、四つあるという。
1.小雀と通りかかった駄馬という説
2.街道を通る大名行列の馬という説
3.狂言対馬祭」の「馬場退け馬場退け、お馬が参る」によるという説
4.子供が竹馬に乗っているときの掛け声とする説

著者は、この句は楽しげあるから、竹馬であろうと言う。
いろんな解釈があって、それも面白い。

芭蕉 蕪村 一茶 山頭火と読んで来て、個人的には蕪村の句が好みなのですが、
一茶には、たくさんの句が今も生き生きと読み継がれていますね。
それは、すごい事だと思います。
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「鳴く猫に赤ん目をして手まりかな」

「やれ打つな蝿が手を摺り足をする」

「あの月をとってくれろと泣く子かな」
 (名月をとつてくれろと泣く子かな)

「むまそうな雪がふうわれふわりかな」

「雪とけて村一ぱいの子どもかな」

「痩蛙まけるな一茶是に有り」

「目出度さもちう位なりおらが春」

「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」

「我と来て遊べや親のない雀」

「これがまあついの栖か雪五尺」

春雨や食はれ残りの鴨が鳴く」
など。

さて、ここで思うのは、今の若者や子供らも、これらの句を知っているかという事。
なかなか聴く機会も少なくなって来ていると想像する。そこが心配。

 

茶の本をいろいろ読んでみて、こんな句を見つけた。
「今日からは日本の雁ぞ楽に寝よ」
渡り鳥である雁がやっと日本に着いた。ゆっくり休みなさい、という意味だろう。
これはなかなかに良い句だと思えた。一茶らしい思いやりというか。

「大根引き大根で道を教へけり」この句も好きです。